タケチャン

子供たちを楽しませたい

和久利 健

和久利さんの住む石原里田地区は、農家の高齢化が進み、農業をやめていく人が増えている。そこで和久利さんは、一軒一軒説得して回り、6年前に農業法人を立ち上げた。今では、地域の若者も巻き込んで、みんなで地域の農業を守っている。また、年間を通じて米作りやそば打ち、餅つきなどの体験も行っている。これらの体験をきっかけに地域を訪れる人が増え、つながりが増えていくことが一番うれしいという。

イキガイズ

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「やっていかないと、継承しないと、途絶えてしまう。」

和久利さんは奥出雲で生まれ育ち、高校卒業後は大阪へ出て建築を学んだ。35年ほど前に大阪から島根に戻り、内装工事の仕事に就いた。ちょうど地元に大きなダムが出来て、立ち退き住宅の建築ラッシュ。和久利さんは寝る暇もないほど忙しかったという。本格的に農業に取り組むようになったのは、地域の子どもたちに「稲作体験」をさせるようになってからだ。きっかけは、母校である三成小学校にあった稲作り体験のできる田んぼがなくなってしまったこと。小学校の先生から相談受け、子どもたちへの「稲作体験」を引き受けることになった。それから25年。和久利さんは、毎年、小学校と幼児園の子どもたちに田植え体験・草取り体験・稲刈り体験をボランティアで行っている。

なぜそこまでするのか?その理由を聞いてみた。
和久利さんは、「米作りを通して子どもたちに伝えたいことがあるからだ。」という。
子どもたちに伝えたいこと。それは、奥出雲の自然の中での遊び方や、今まで奥出雲で受け継がれてきたこと。「稲作体験」を通して子どもたちに体感させてあげたい。子どもたちが、地元のおいしいお米を食べ、どうして美味しいお米が出来るのか感じながら育てば、おのずと「奥出雲は素晴らしい場所」と実感するだろう。そして、「子どもたちには、奥出雲や三成の良さを知ったうえで、一度は都会へ出て欲しい。都会に出てみると、さらに奥出雲の良さがわかると思う。そして、いつかは奥出雲へ帰ってきて欲しい。」と語った。

近年は、日本人の米離れが進み、米の価格が年々下がっている。一方で、イノシシによる被害が深刻化している。手間暇かけて育てた稲が、最後の最後にイノシシに襲われてしまうのだ。これは、里山の管理が行き届かず、山が荒れてしまったことが原因だという。農業の難しさを感じながらも、和久利さんは後ろを向いてはいない。都会でも海外の方でも、この地域の現状を理解してもらい、一緒に地域を盛り上げていく仲間を作りたいと考えている。

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